2023年7月2日

いちじくは、世界最古の栽培果樹であったとも考えられており、古くから世界中で食べられてきました。栄養素も多く含まれ、日本には江戸時代初期に薬用として入ってきたようです。砂糖が精製される前の古代社会では、貴重な甘味の一種でもありました。新約聖書の舞台であるパレスチナ地域では、夏は雨が降らず、水不足になりがちな乾期です。実の85%が水分である、いちじくは、喉を潤すためにも食されたことでしょう。イエス様と弟子たちが宣教旅行をしていた時、お腹が空いたイエス様はおそらく自生している、いちじくの木を見つけて、実がなっていることを期待して近寄ります。しかし、残念ながら季節外れのために熟果はなかったようです。季節外れなのだから仕方ないように思えますが、イエス様はいじちくの木に呪いの言葉をかけます。すると数日後、いちじくの木は枯れてしまいます。なんとも理不尽な物語のようです。しかし、いちじくやぶどう、オリーブなどの果物は、神の民、ユダヤ、エルサレム、神殿などの象徴でもあります。人々から献金を集めて、そのお金で豊かな生活を得ながら、貧しい人々を助けることをおろそかにしている神殿組織を、葉を豊かに茂らせながら実をならせない果樹になぞらえているのかも知れません。しかし、夏に備えて葉を繁らせるいちじくの木は、実を結ぶ備えある状態でもあります。 時が来れば豊かに実を結び、生き物に潤いを与え、生活を助けることが出来るように、力あるからこそ誰かを助けることが出来ます。その時が今来ているのだと、イエス様はいちじくの木を通して、私たちに示しておられるのかも知れません。

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