アーカイブ | 12月 2023

2023年12月24日

本日は、アドヴェント第四週、テーマは愛となっています。今年は24日のクリスマスイブが日曜日なのですがイブは夕方のことなので、日曜日の午前中はギリギリ、アドヴェントなのです。マタイ、ルカの福音書ではイエス様のお誕生についての出来事を記していますが、ヨハネの福音書では出来事ではなく、端的にイエス様がこの世界に現れてくださったのは、人々の救いのためであったと記しています。イエス様の別名であるキリストという呼び名は「救い主」という意味です。もともとは旧約聖書の言葉ヘブライ語で「メシア」と言いました。「メシア」は苦しむ人々を助ける働きをする人の呼び名であって、イエス様の前の時代にも「メシア」たちは現れていました。そうした「メシア」たちのおもな働きは、悪い人を倒し、罪深い人に厳しく悔い改めを迫るものでした。しかしイエス様は厳しく罪を裁くためではなく、悪い人を含めた全ての人々を救うために来て下さいました。クリスマスはこの特別な救い主、イエス様をおくって下さった神さまの果てなき愛を喜ぶ日です。

2023年12月17日

キリスト教会の伝説によれば、イエス様の母となったマリアは、当時10代半ばだったと言われています。古代社会では女性の成人年齢は早く、10代の結婚、出産は必ずしも珍しくはありません。しかし身体が十分に出来上がる前の妊娠、出産は死亡リスクが高く、命がけになります。また結婚の前に妊娠することは、性的不道徳の罪として迫害されました。34節のマリアの言葉は、彼女の不安と戸惑いを現しているのかも知れません。しかしマリアは、おそらく苦難を予感しつつも、その苦難が神さまの恵みであり、聖霊によって産まれた子どもは神の子と呼ばれる、と告げる天使の言葉を信じたのでしょう。聖書は、マリアが抱いたであろう不安や恐れの言葉や、人々から迫害される中での悩みの言葉を記していません。希望の言葉のみ語るマリアの姿には、恨みや嘆きを言葉にしない心の強さと、怒りや悲しみを現すことで家族や周りの人々を傷つけまいとする優しさが示されているのかも知れません。

2023年12月10日

アドヴェントのろうそくの2本目は、平和を象徴する灯火となっております。ウクライナ、イスラエルを始め、あちこちで戦争、内戦、紛争は尽きない年となりました。イザヤ書9章5節やルカ福音書2章14節によれば、全ての人の罪を清める救い主、イエス・キリストは平和をもたらす方です。全人類がキリスト者ではないとはいえ、クリスマスだから、という理由で一時的であれ争いが治まるのであれば、ささやかではあっても、平和の一歩の小指の先くらいには喜ばしいことではないでしょうか。聖書に記されたイエス様のお誕生の出来事では、イエス様は赤ちゃんなので神さまのお言葉を話したりはしません。しかし、その存在が周りの人々を慰められ、励まされ、平安が与えられました。言うべきことは言わねばならず、言わなければ伝わらないこともありますが、争いになることを言わず、沈黙のうちに平和が現れることもあるでしょう。全ての人にとってクリスマスが平和の日となりますように。

2023年12月3日

イエス様のお誕生を祝うためにやってきた人々は、東の国からやってきました。おそらくペルシアの人だったのでしょう。当時、天文学者たちは現在のような科学者というだけではなく、星の輝きに神秘的な力があると信じる占星学者も兼ねていました。彼らは星の動きや輝きを見て、農業の時期を計ったり、人間の運命や未来を予感して人々に伝える働きをしていました。聖書の信仰は、占星術のような呪いを避ける宗教ですが、不思議なことに異なる宗教を信じる人々に対して、イエス様のお誕生が示されたのです。人は古代から、自然現象の中に目に見えない超越的存在を感じ取り、人を助け導く力を見いだしていました。イエス様は聖書の信仰を持つ人だけではなく、他の宗教の人々のためにも救いをもたらすために来て下さった方なのだと、聖書は教えているのかも知れません。