2023年12月17日

キリスト教会の伝説によれば、イエス様の母となったマリアは、当時10代半ばだったと言われています。古代社会では女性の成人年齢は早く、10代の結婚、出産は必ずしも珍しくはありません。しかし身体が十分に出来上がる前の妊娠、出産は死亡リスクが高く、命がけになります。また結婚の前に妊娠することは、性的不道徳の罪として迫害されました。34節のマリアの言葉は、彼女の不安と戸惑いを現しているのかも知れません。しかしマリアは、おそらく苦難を予感しつつも、その苦難が神さまの恵みであり、聖霊によって産まれた子どもは神の子と呼ばれる、と告げる天使の言葉を信じたのでしょう。聖書は、マリアが抱いたであろう不安や恐れの言葉や、人々から迫害される中での悩みの言葉を記していません。希望の言葉のみ語るマリアの姿には、恨みや嘆きを言葉にしない心の強さと、怒りや悲しみを現すことで家族や周りの人々を傷つけまいとする優しさが示されているのかも知れません。

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