新約聖書の四つの福音書の中で、マルコによる福音書は最も短い書となっています。特徴の一つとして「すぐに」という表現が多用されています。読み手には、いつかという未来のことではなく、今すぐに救いの出来事が起こり、イエス様を信じる信仰へと招かれているという現在性が強調されているようです。物語の始まりとなる1章15節では、イエス様の一番始めの発言として「時が満ちた」という表現が紹介されています。この表現も、「今すぐに」というマルコ福音書の特徴が現れた表現です。「時が満ちた」という表現は、準備が完了した時に用いる表現です。イエス様がこの言葉を用いられたのは、イエス様の先輩に当たるバプテスマのヨハネが権力者によって捕らえられたという迫害の出来事の後でした。しかし迫害を恐れて、時期が悪いと考えるのではなく、むしろ悲惨な世の中である今こそ、イエス様の救いの出来事が起きるに相応しい、と語るマルコ福音書の始まりは、困難な状況の中にいる人々に対して、どんな状況の中でも、今すぐに救いをもたらし、神の愛に招いて下さるイエス様がおられることを力強く伝え、励ましているようです。