「食欲の秋」とか、「天高く馬肥ゆる秋」いう言葉があります。夏の暑さで食欲がなくなっていた人が、秋の涼しさの中で元気を取り戻し、よく食べることが出来るようになる様子を表した言葉なのだそうです。ですから、暴食を勧める言葉ではないのでしょう。小食になり、力を失っていた人を励ますための言葉であり、寒い冬に向けて力を蓄えようという備えの言葉なのかも知れません。食を断って祈りに専念することを断食と言います。ルカ福音書ではイエス様が断食した理由が明確に記されていませんが、空腹の苦しみを自ら体験し、その中でも祈りを献げ続けるお姿は、自らを満たそうとするのではなく、他者の欠けを満たそうとされる十字架に至る隣人愛の生き方の象徴のようでもあります。悪魔はイエス様に対して空腹の苦しみから逃れるために、神さまの奇跡の力を、自分の為に使えば良いと誘惑します。イエス様は食欲そのものを否定しません。しかし、自分を愛するように隣人を愛することが、神さまを信じて愛する人の生き方であるとイエス様は教えておられます。美味しいものを食べる時には、独り占めしたりせず、空腹の人々が満たされるよう、ささやかであっても分け与える心を思い起こしたいものです。