2021年8月8日

半藤一利さんは、中学2年生の時、3月10日の東京大空襲の炎に前も後ろも挟まれ、橋から中川に飛び込みました。船のおじさんに救い上げてもらいました。そして、自分も流れている人の救出に当たりましたが、肩をとられ、川の中に引き込まれてしまいました。夜間、水面の方向が分からず、水を2回飲んでしまい、もう終わりかと思った時、脱げた長靴がユラユラと浮き上がって行くのを見て、その方向に泳ぎ、水面に顔を出すことが出来ました。そして、別の船に助けられ、岸に上がり、ガタガタ震えていると、おじさんが履き物をくれました。あんなひどい状況にもかかわらず、親切な大人がたくさんいました。と書いています。そして、これからの生涯、二度と「絶対」という言葉は使わない、絶対に人を殺さない、絶対に自分の家は焼けない、絶対に日本は勝つ、川で溺れかけたとき、確かに私の手は誰かの手を振りほどいてしまったのですから、と。「どうしてこんなことが」という炎が燃え続けた90年の生涯でした。

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