2023年1月22日

バビロニア帝国はメソポタミア地方を中心に広大な領土を持っていました。ダニエル書に登場するネブカドネザル2世は、自分たちの支配者であったアッシリア帝国に勝利して独立国家を樹立、荒廃していた首都バビロンを再建し、イスラエル王国などの小国、地域を併合した英雄的人物です。しかし、ダニエル書ではネブカドネザル2世が、精神的不安定さを抱えていた様子を記しています。自分の見た夢について内容を教えぬままに解釈せよ、解釈出来ない賢者は皆殺しにするという命令もその一つです。ダニエルは神様から知恵を授かり、ネブカドネザルの夢を解き明かします。しかし、ネブカドネザル王の心を動かしたのは、夢を解き明かされたからではなかったかも知れません。というのも、解き明かしが正しいかどうかは、実際に預言が起きてみないと解らないからです。ネブカドネザルが46節以下で大いに心動かされた様子なのは、彼が抱いていた言い知れぬ不安を言葉にして表現してもらったからではないでしょうか。栄枯盛衰、しかし滅びるものも一つの像、一つの世界の一部、来るべき栄光の世界の前触れとなるというダニエルの預言は、不安を抱えながらも日々国を豊かにしたいと願い働く孤独な支配者の心に希望を与えたのかも知れません。ネブカドネザル王は、ダニエルの言葉を通して、自分自身を見守っておられる、真の神様の愛のまなざしを感じたのではないでしょうか。

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