2023年9月10日

新約聖書の言葉であるギリシア語では、「愛」はその内容に応じて4つの単語が用いられます。家族愛の「ストルゲー」友愛の「フィリア」性愛の「エロス」そして神の愛「アガペー」です。これらの区別は、大雑把なものであり、実際のギリシア語では友情と思われる愛を「エロス」で表現したり、家族愛を「アガペー」と表現することもあったようです。しかし、聖書記者は「アガペー」の愛を神さまが人間に向ける、特別な尊い愛として使いました。新約聖書学者レオン・モリスは、新約聖書における「アガペー」の愛は、見返りを求めず自分を相手に与えようとする情熱のことだと説明しています。イエス様が「互いに愛しなさい」といっておられる時の愛は、この「アガペー」の愛です。相手の持つ何かを自分の益のために求めるのではなく、自分が相手から愛されようとすることではなく、自分自身が相手を愛そうとする愛を、互いに向けるように、とイエス様は言っておられます。新約聖書はこの愛は、神さまが人間に向ける特別な愛として用いながらも、神さまを信頼し、イエス様の言葉によって導かれる人は、一人一人の心に与えられ、備えられている神さまの愛を、その人自身も現すことが出来るようになる、と教えています。この「アガペー」の愛で互いに愛し合う人間関係の只中に、救い主であるイエス様の示された十字架の愛が現れるのだと、聖書は教えています。

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