2023年11月5日

新約聖書学者レオン・モリスは新約聖書で愛と訳されるギリシア語「アガペー」について「見返りを求めず与えようとする愛」、同じくギリシア語で「愛」を意味する「エロス」は「相手を自分のものにしたいと欲する愛」と定義しています。他にもギリシア語では、友情/友としての愛を「フィリア」と言い、この動詞型「フィレオー」は新約聖書の中でもしばしば用いられています。しかし、「家族愛」を意味するギリシア語「ストルゲー」は新約聖書の中でつかわれておらず、「ストルゲー」の代わりに「アガペー」が用いられています。つまり、新約聖書では神の愛、そして人が他者に向ける最高の愛である「アガペー」を、親が幼子に与える無償の愛と重ね合わせているようです。心理学では、幼少期に親の愛を十分に受けることが出来なかった人は、大人になった時に、情緒や人格に問題が生じる可能性がある、と考えられています。しかし、親から虐待され、愛を受けていなかった人の全員が親と同じ事をするのではなく、親とは異なり愛情深い親となることもあります。学校や友人や職場や、親以外の親族、色々な大人達、他の人々との関わりの中で、「見返りを求めず与えようとする愛」を経験することがあれば、自らもまた同じ愛を誰かに向けることが出来るようになるはずです。イエス様を通して人は天の父からのアガペーの愛を受けていることを知り、自分が受けた同じ愛を他者へと向けることができる者へと変えられるのだと、聖書は教えているのではないでしょうか。

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