ルカによる福音書2章では、イエス様がベツレヘムで生まれることになった背景に、当時ユダヤ王国を支配していたローマ帝国の政治的事情があったと記しています。「住民登録」は今で言う国勢調査であり、税金と兵役のための調査でした。イエス様の父親となったヨセフの本籍地がベツレヘムだったからでしょうか、住まいのあるナザレから長い旅をすることになります。すでに臨月であった妻マリアと共に旅をしたのは、法律的に彼女も登録する必要があったからなのか、それともナザレに一人留まるのは居心地が悪かったのでしょうか、いずれにせよマリアにとっては苦難の旅だったでしょう。ところが到着したベツレヘムには、彼らがとまれる場所がありませんでした。妊婦に対して、ずいぶんと人情のない扱いをしているように感じられます。旧約聖書の掟によれば、流血はケガレと見なされていましたので、出産に伴う出血によって宿屋の商売に差し支えがあることを嫌がって、宿泊拒否をされたのかも知れません。人間の世界の、優しさに欠ける罪深さの只中に、イエス様はお生まれになられました。しかしそこから、世の罪を清め、新しい命を与えようとされる神さまの愛そのものである、イエス様の救いの出来事が始まりました。神さまの救いの愛は、人間の想像を超えて進み、世の闇の中に輝き出でる光です。